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不動産法務ライブラリー(3) 不動産取引と消費者契約法 判例・事例から学ぶ更新料等  諸問題への対応

不動産法務 消費者契約法 賃貸

不動産法務ライブラリー(3) 不動産取引と消費者契約法 判例・事例から学ぶ更新料等 諸問題への対応

著者弁護士 江口 正夫
定価本体価格1,600円+消費税
形式四六判 156頁

事業者の消費者契約法対策決定版!
賃貸借契約における特約の有効性に関する訴訟の多くは”消費者契約法違反”と判断され、特約の有効性が疑問視されています。特に更新料をめぐる大阪高裁無効判決は、過去に遡っての返還要求と礼金・管理費にまで波及しかねないことから、業界に大きなショックをもたらしました。その直後、同じ大阪高裁から更新料有効判決が出され、消費者契約法の研究・対処が必須の状況となっております。本書は、消費者契約法の基本構造と判例から、「無効」「有効」とされる判断基準と検討、分析を加えた、事業者のための消費者契約法対策の一冊です。

消費者契約法によって特約が無効とされる判断基準とは!
消費者契約法設定の背景
消費者契約法の基本構造
不動産取引契約が消費者契約法により取り消される場合
消費者契約法と特約条項の裁判事例
原状回復特約訴訟/敷金精算特約訴訟/敷引特約訴訟/礼金支払特約訴訟/更新料支払特約訴訟/遅延損害金の利率制限訴訟 他

序章 消費者契約法設定の背景

【1】法律制定の背景
【2】消費者契約法と宅地建物取引業法
【3】不動産取引における消費者契約法の適用例


第1章 消費者契約法の基本構造

事業者と消費者の概念

【1】事業者とは?
【2】消費者とは?

消費者契約に該当する契約類型
消費者契約法に該当しない契約類型


第2章 消費者契約法のスキーム

全体のスキームの概観


第3章 不動産取引契約が消費者契約法により取り消される場合

事業者の不適切な勧誘行為等による契約と消費者の取消権
不実告知
断定的判断の提供
不利益事実の不告知

〔事案〕
大手デベロッパーによるマンションの販売行為が不利益事実の不告知に該当し取り消され、代金全額の返還を命じられたケース(東京地裁平成18年8月30日判決)

困惑による取消権
仲介業者の消費者契約法違反
売主に消費者契約法違反がなくても、媒介業者に消費者契約法違反があった場合、売主・買主間の売買契約は取り消されるのか?
第三者への転売後の取り消しの可否
買主たる事業者が、第三者に売買対象物件を転売した後でも、売主たる消費者は契約を取り消せるか?
消費者契約法に基づいて契約が取り消された場合の法的効果
取消権の行使期間


第4章 消費者契約法と特約条項の裁判事例

事業者の損害賠償責任の免除

【1】事業者の損害賠償責任全部免除特約
【2】事業者の故意・重過失による損害賠償責任の一部免除特約
【3】事業者の不法行為による損害賠償の全部免除特約
【4】事業者の瑕疵担保責任の全部免除特約

違約金・損害賠償予定の制限

【1】損害賠償の予定・違約金が平均的損害を超える場合の無効
【2】宅地建物取引業者が売主となる場合に、違約金として売買代金の20%と定めることは適法か?
【3】消費者契約法と宅建業法との適用の優先関係

〔事案〕
マンションの売買における違約金特約は信義則上、手付金の倍額と認めるのが相当であるとされた事例〔福岡高裁平成20年3月28日判決(上告)〕

〔事案〕
消費者が自動車売買契約を解除した場合に、事業者は特約条項に基づく損害賠償金を請求することはできないとした事例〔大阪地方裁判所平成14年7月19日判決・確定〕

〔事案〕
「平均的な損害額」の主張立証については、事業者側が負担すべきものとされた事例〔さいたま地方裁判所平成15年3月26日判決・確定〕

遅延損害金の利率の制限

【1】遅延損害金が年14.6%を超えるものの無効

〔事案〕
信用保証委託契約の遅延損害金の定めについて、年14.6%を超える部分が無効とされた事例〔東京高等裁判所平成16年5月26日判決・確定〕

消費者の利益を一方的に害する不当条項の無効

【1】原状回復特約の消費者契約法のもとでの有効性に関する裁判例

〔事案〕
自然損耗を賃借人負担とする特約を消費者契約法違反を理由に無効とした事例〔京都地方裁判所平成16年3月16日判決〕

【2】住居系賃貸借における敷金精算特約の有効性

〔事案〕
(1)大阪府住宅供給公社の特優賃住宅において通常の使用に伴う損耗分を賃借人負担とする特約は公序良俗に違反するものでなく、有効とされた事例〔大阪高裁平成16年5月27日判決〕

〔事案〕
(2)大阪府住宅供給公社の特優賃住宅において通常の使用に伴う損耗分を賃借人負担とする特約がそもそも成立していないとされた事例〔最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決〕

【3】敷引き特約の有効性

〔事案〕
敷引き特約が消費者契約法第10条により無効とされた事例〔神戸地方裁判所平成17年7月14日判決〕

【4】定額補修分担金の有効性

〔事案〕ア.定額補修分担金特約の無効判決
定額補修分担金特約が消費者契約法10条に該当し無効であるとして、同特約に基づき支払われた金員の返還請求が認められた事例〔京都地裁平成20年4月30日判決〕

〔事案〕イ.定額補修分担金特約の有効判決
定額補修分担金特約は賃借人の利益のみが一方的に害されるものとはいえないとして、消費者契約法10条により無効であるとする賃借人の請求が棄却された事例〔京都地裁平成20年9月26日判決〕

〔事案〕ウ.定額補修分担金特約訴訟の控訴審判決の動向
定額補修分担金特約の有効性に関する判決については、前述のとおり、京都地裁において、これを無効と判断した判決と、有効と判断した判決とに判断が分かれていました。これらの判決はいずれも控訴され、大阪高裁において、いずれも無効とする控訴審判決が出された事例〔大阪高裁平成20年11月28日判決、大阪高裁平成21年3月10日判決〕

【5】礼金支払条項の有効性

〔事案〕
礼金を返還しない旨の約定が消費者契約法10条に反し無効であるということはできないとされた事例〔京都地裁平成20年9月30日判決〕

【6】更新料の支払特約と消費者契約法

〔事案〕
本件更新料の支払特約が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものではないことから、消費者契約法第10条には違反しないとして、賃借人の更新料の返還請求が棄却された事例〔京都地裁平成20年1月30日判決、大阪高裁平成21年8月27日控訴審判決〕

【7】更新料を有効と認めた裁判例

〔事案〕
更新料支払条項を無効とした大阪高裁平成21年8月27日判決とは逆に、本件更新料支払条項は消費者契約法10条ないし民法90条のいずれにも反するものとはいえないとして控訴を棄却した事例〔大阪高裁平成21年10月29日控訴審判決〕

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