書籍情報

底地・借地の実務

CD-ROM 借地 底地 〈品切れ中〉

底地・借地の実務

著者 立川 正雄(弁護士)
定価 30,800円(本体価格 28,000円 + 消費税10%)
形式

手付かずの底地・借地市場の基礎からコンサルまで実例をもとに解説
すぐに活用できる契約書等の関連書式20文書のCD-ROMを添付

(本書まえがきより)
本書は、借地の実務に携わっている方々の参考とするため、30年以上にわたり当法律事務所で扱ってきた借地問題をまとめ、講演会で質問を受けた事項を加えて借地のさまざまな実務上の問題点を解説したものである。
借地借家法が平成4年に施行されてからもう18年たつが、現在存在する借地はそのほとんどが旧法借地であるし、実務では相変わらず旧法借地のトラブルが多い。したがって本書も旧法借地の問題を中心に法律上の問題点、実務上の注意点、処理のノウハウを解説している。

本書において、特に注意をしたのは以下の点である。

 1.更新料の相場など、できる限り借地の実務上の慣行を取り上げた。
 2.路線価の見方など実務で役立つ資料の使い方にも触れた。
 3.等価交換の税務など、税務を考えた実務の処理も解説している。
 4.新法(借地借家法)による定期借地権の前払い地代制度など、土地有効活用の手法となる制度も取り上げた。

地主の立場、借地人の立場、仲介業者の立場など、それぞれの立場からの借地問題の処理の方法について取り上げたつもりである。本書の表題を「底地・借地の実務」としたのも地主の立場、借地人の立場の両側から問題を解決したいと考えたからである。

一般の売買を扱う不動産仲介業者も、好むと好まざるとに関わらず、借地人側から、また地主側から借地の相談を受けることが多いと思われる。本書は、あまり借地の問題を取り扱ったことのないかたにも役に立つよう初歩的問題にも触れ、さらに実務書でもあまり解説のない専門的な問題まで、広く論点を取り上げている。バブル崩壊の影響を受けて、土地の価格が大幅に値下がりし、投資を目的とする仲介等、一般不動産売買の件数が非常に減少している。宅建業者の方が本書を参考書に、取り扱う仕事の一つとして、借地の分野を加えて頂ければと考えている。底地・借地の問題に携わる方の実務書として役に立てば幸いである。

著者・弁護士 立川 正雄(立川・及川法律事務所)

第1部 借地の基礎知識

 第1章 借地権の内容・法的性質
  第1 借地権の種類
  第2 借地権の法的性質
  第3 土地賃借権と地上権の違い
  第4 土地賃借権で地主の承諾を不要にする方法
  第5 借地権の調査

 第2章 借地(土地賃借権・地上権)の対抗要件(土地賃借権の物権化)
  第1 借地権の対抗要件
  第2 借地権の対抗要件たる建物登記
  第3 建物滅失の場合の借地権の公示

 第3章 借地権ではない土地の賃貸借
  第1 建物所有を目的としない土地の賃貸借、地上権の設定
  第2 親族間の土地の貸借

 第4章 借地権か否か(借地契約は有償契約)
  第1 借地権の「対価」

 第5章 借地の面積
  第1 実測面積と契約面積が異なった場合
  第2 実測面積分の地代の支払請求
  第3 実測による地代の減額請求
  第4 借地契約で数量不足の瑕疵担保責任が認められる場合

 第6章 現行法(借地借家法)上認められている借地権の種類
  第1 借地借家法では、普通借地、(一般)定期借地、
     建物譲渡特約付定期借地権、事業用定期借地権等及び
     一時使用目的借地の5種類の借地権が認められている。
  第2 各借地の特色
  第3 旧法借地と新法借地はどこが違う?
  第4 旧法借地とは
  第5 旧法借地に対する借地借家法の適用
  第6 旧法の契約期間と更新後の期間
  第7 旧法借地の期間満了・更新時期
  第8 借地の法定更新と借家の更新の違い
  第9 堅固建物と非堅固建物
   第7章 新法借地
  第1 新法借地とは
  第2 新法の普通の借地期間・更新後の借地期間

 第8章 分譲マンションの問題
  第1 分譲マンションの敷地権
  第2 承諾の要否についての調査方法
  第3 自己借地権

 第9章 借地権の成立と借地権割合
  第1 路線価図による借地権割合の調査
  第2 路線価図の借地権割合と実際の借地権割合
  第3 路線価から公示価格(時価・借地権価格)を推測する方法

 第10章 用法違反
  第1 駐車場としての利用
  第2 建物所有目的での利用

 第11章 無断譲渡・転貸
  第1 貸家への転用
  第2 通常の借地(地上権によらない借地)は特約がなくとも
     借地権の譲渡・転貸には地主の承諾が必要

第2部 旧法借地の更新

 第1章 旧法借地の更新
  第1 借地の更新とは
  第2 法定更新の種類
  第3 法定更新の要件
  第4 旧法借地の更新に関する根拠条文
  第5 法定更新の効果
  第6 建物が滅失している旧法借地の法定更新
  第7 建物が滅失している旧法借地の更新請求
  第8 建物の建替えと更新について

第3部 更新拒絶

  第1 更新拒絶とは、借地契約の更新を拒絶して、借地の返還、明渡を求めること
  第2 更新拒絶の要件方法
  第3 更新拒絶の要件
  第4 正当事由

第4部 更新料

  第1 更新料の支払義務
  第2 更新時の更新料支払合意を履行しなかった場合
  第3 更新料の相場
  第4 更新料で地主と対立した場合の不都合
  第5 更新料の金額確定についての、地主・借地人へのアドバイス
  第6 契約書に定める更新料の支払特約

第5部 地代の値上げ・値下げ

 第1章 地代の値下請求の理論的根拠
  第1 地代の変更請求

 第2章 地代の相場
  第1 適正な地代
  第2 合理的な地代の算定
  第3 不動産鑑定による地代算定方法
  第4 借地人による土地の評価証明書の取得

 第3章 地代値上げ
  第1 地代の値上げ請求
  第2 暫定期間の地代
  第3 増額請求を受けた借地人が支払うべき相当な地代
  第4 地代値上げの諸問題

 第4章 地代値下げ
  第1 地代値下げの方法
  第2 地代値下げの基準
  第3 地代値下げの諸問題

第6部 地代不払いによる借地契約の解除

 第1章 地代不払いによる借地契約の解除が難しい理由
  第1 地代の不払い1か月では解除が認められない理由
  第2 信頼関係破壊の理論
  第3 借地契約と借家契約とで、信頼関係破壊の判断の基準が変わるのか

 第2章 無催告解除
  第1 無催告解除の有効性
  第2 長期の地代不払いを理由とする無催告解除
  第3 実務上の無催告解除の手続

第7部 増改築禁止特約

 第1章 増改築禁止特約の「増改築」
  第1 増改築の意義
  第2 増改築禁止特約の意義
  第3 増改築禁止特約がないとき
  第4 増改築禁止特約の有効性

 第2章 無断増改築と借地契約の解除
  第1 増改築禁止特約があるため、借地非訟の許可手続が必要となるような増改築
  第2 増改築の具体的判断

 第3章 増改築禁止特約と信頼関係破壊の理論
  第1 増改築禁止特約違反による解除
  第2 信頼関係の破壊が認められる(地主が増改築禁止特約違反で解除できる)増改築の程度

 第4章 増改築許可と借地非訟手続
  第1 借地非訟手続を創設した理由
  第2 非訟手続
  第3 旧借地法と借地借家法の適用範囲
  第4 裁判所の許可で増改築をした場合の問題点
  第5 銀行の融資承諾書取得の必要性
  第6 承諾書を銀行に差し入れた地主の不通知解除の有効性
  第7 承諾書を求められた地主側の現実的な対応
  第8 建替承諾料
  第9 借地非訟の増改築許可(裁判所)による借地期間の延長
  第10 借地非訟の増改築許可(裁判所)の際の旧法による借地期間の延長

 第5章 増改築許可の借地非訟手続き
  第1 増改築許可の中立(借地非訟)
  第2 審尋の開催
  第3 和解不成立における鑑定委員会の鑑定
  第4 裁判所の和解
  第5 和解不成立における裁判所の決定
  第6 増改築許可の借地非訟手続の注意点

第8部 条件変更の借地非訟手続

 第1章 借地条件変更の借地非訟手続の概要
  第1 借地条件変更の借地非訟手続とは
  第2 借地条件変更が認められる理由
  第3 旧法借地で、木造(非堅固)から鉄筋コンクリート(堅固)への建替
   第2章 新法における借地条件変更とは
  第1 借地人が借地条件の変更を求める裁判を申し立てることができる場合
  第2 旧法借地の借地条件変更は新法適用か

 第3章 堅固建物への変更の場合の付随処分(借地借家法17条3項関連)
  第1 裁判所が定める堅固建物への変更の承諾料
  第2 借地条件変更に伴う存続期間の延長
  第3 種類、規模、用途に関する借地条件変更について(堅固建物以外)

 第4章 借地条件変更と増改築許可または借地権譲渡許可の併合申立て
  第1 借地条件変更と増改築許可の裁判の関係(法第17条2項関連)
  第2 借地条件変更の裁判と土地賃借権譲渡許可の裁判の関係
     (法第19条1項関連)

第9部 借地権の譲渡

 第1章 土地賃借権の譲渡と地主の承諾

 第2章 借地権の売却
  第1 地主の借地権買い取り義務と建物買い取り請求権
  第2 借地を第三者に売却する場合の値付け
  第3 借地を地主に売却する場合の値付け
  第4 借地権を第三者に売却するときの手続きと注意点

 第3章 地主の承諾の要否

 第4章 承諾料の相場
  第1 承諾料の意味
  第2 借地非訟手続における財産給付

第10部 借地権譲渡の借地非訟手続

 第1章 譲渡承諾の借地非訟手続
  第1 貸主(地主)の承諾が必要な理由
  第2 承諾に代わる許可の裁判
  第3 許可の裁判の要件

 第2章 地主の先買権(介入権)
  第1 借地権譲渡の借地非訟に対する地主の対抗手段
  第2 地主に先買権を行使された場合の借地人の譲渡許可申立の取り下げ
  第3 地主が先買権を行使した後の先買権申立の取り下げ

 第3章 地主の先買権(介入権)が認められない場合
 第4章 借地の買主の増改築の許可と借地権の譲渡許可を一つの裁判手続きで得る方法
  第1 理論的根拠
  第2 申立は現借地権者と譲受予定者のいずれが行うべきか
  第3 申立書の主文の記載例
  第4 決定主文の記載例

第11部 借地の競落(公売)による移転

 第1章 地主との土地賃借権移転の承諾取得交渉

 第2章 競落における土地賃借権譲渡許可

第12部 底地の売却・処分

  第1 底地を借地人へ売却する場合の値付け
  第2 底地の物納
  第3 底地買取業者

第13部 借地の整理(借地関係の解消)方法

 第1章 借地関係解消の必要性
  第1 借地関係を継続した場合の地主・借地人のデメリット
  第2 借地整理のチャンス
  第3 借地整理の方法

 第2章 借地人が底地を買い取る場合の問題点
  第1 親が借りている借地の底地を子供が買い取った場合の税務上の注意点
  第2 親の借地の相続税の評価
  第3 物納した底地を借地人が国から取得する場合

第14部 底地・借地の共同売却

  第1 底地・借地の共同売却の手順
  第2 デベロッパー等による底地、借地の一括買取

第15部 底地・借地の等価交換

  第1 地主・借地人間の等価交換のやり方
  第2 底地と借地の交換の対象部分
  第3 等価交換のメリット
  第4 税理士に関与してもらう
  第5 固定資産交換の特例の効果(課税の繰り延べ)
  第6 地主・借地人間の等価交換の方法
  第7 等価交換の特例の要件
  第8 「交換する財産間の差額が、高い方の財産の時価の20%以内」の意味
  第9 交換差金への課税
  第10 交換差金が発生する場合の注意点
  第11 一部を交換とし残部を売買とした場合
  第12 「取得した資産を、譲渡資産の用途と同一の用途に供すること」について
  第13 同一の用途に供すること
  第14 固定資産交換の特例の効果(取得日の引き継ぎ)
  第15 等価交換の税務申告

第16部 底地・借地の等価交換における仲介手数料

  第1 借地権と底地権の交換の媒介報酬額
  第2 交換の媒介報酬額の計算(報酬計算の基準額)
  第3 底地と借地権の等価交換における報酬の計算

第17部 借地の転貸

 第1 娘婿への借地の使用貸借

第18部 銀行借り入れについての地主の承諾書

第19部 借地権と相続

 第1章 底地の相続
 第2章 借地の相続
  第1 相続と名義変更料
  第2 遺産分割による借地分割の可否

第20部 定期借地権
 第1章 定期借地権の特色
  第1 定期借地権の種類
  第2 建物譲渡特約付定期借地権の建物譲渡特約と、借地人から地主に対する建物買取請求権
  第3 各定期借地権における「建物取り壊し」の選択
  第4 一時使用目的の借地と建物買取請求権
  第5 借地権の譲受人等からの建物買取請求権
  第6 書面(公正証書等)の要否
  第7 事業用定期借地権の契約と公正証書

 第2章 事業用定期借地権(法23条)の改正
  第1 改正の理由
  第2 条文の位置変更の理由
  第3 事業用定期借地権の長所(メリット)
  第4 事業用定期借地権の利用方法
  第5 改正後の2種類の事業用定期借地権の違い
  第6 「事業専用の2種類の定期借地権」を使わなくとも、
     建物譲渡特約付定期借地権(法24条)を事業用に利用することも可能
  第7 事業用定期借地権と建物譲渡付借地権から選択する場合の注意点
  第8 事業用定期借地権の期限の設定
  第9 一般定期借地権の事業用としての利用
  第10 事業用定期借地権の存続期間の上限
  第11 事業用として使える定期借地権
  第12 改正施行前の事業用定期借地権の期限の変更の可否
  第13 改正前成立した事業用定期借地権の期間延長

 第3章 定期借地の関連問題
  第1 建物譲渡特約付定期借地の上の建物を借りている借家人
  第2 居住用の一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権の使い分け

第21部 定期借地の権利金・保証金

 第1章 定期借地権の権利金

 第2章 定期借地権の保証金
  第1 定期借地権の保証金(個人地主・個人借地人・定期借地権)

 第3章 定期借地の前払い地代
  第1 定期借地権の一時金(地代前払い)に対する課税の変更
  第2 地代の前払い実際の利用方法
  第3 中途解約と地代の前払地代の精算返還の問題

第22部 自己借地権

  第1 自己借地権の利用方法
  第2 自己借地権設定の要件
  第3 設定方法
  第4 対抗要件

第23部 一時使用目的借地権(法第25条)

  第1 一時使用目的の判断基準
  第2 一時使用目的借地権の特殊性

第24部 借地の明渡の強制執行

 第1章 明渡の判決を得た後の執行方法
  第1 代替執行
  第2 代替執行費用の回収
  第3 代替執行の実施
  第4 借地人が居住している場合
  第5 解体建物の滅失登記

添付資料一覧(CD-ROM収録)

資料01 普通借地契約書(中立的)
資料02 普通借地契約書(地主側)
資料03 普通借地契約書(借地人側)
資料04 民法上の土地賃貸借(駐車場用地)契約書
資料05 土地賃貸借更新契約書
資料06 借地上の建物建替承諾書
資料07 地代値下げ請求書
資料08 地代値上げ請求書
資料09 停止条件付借地権譲渡契約書
資料10 借地契約解約合意書(借地返還契約書)
資料11 借地権者の地位に変更がない旨の申出書
資料12 借地権付建物売買契約書(底地と同時売却)
資料13 底地借地等価交換契約書(サンプル参照)
資料14 地主の承諾書(住宅支援機構宛)
資料15 地主の抵当権設定承諾書
資料16 借地権の使用貸借に関する確認書
資料17 国税局通達
     −使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて
資料18 事業用定期借地契約予約契約書
資料19 土地の無償返還に関する届出書
資料20 定期借地権保証金平成21年運用益計算
資料21 定期借地権地代前払い税務照会